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大学生のマインドマップ的ブログ

理系大学生がポスドク問題と日本の研究について考える

白衣の研究者

私は現在大学3年生ですが、将来は大学院に進みたいと思っています。

実は、私の父は強磁場物性について研究しているゴリゴリの研究者なのですが、そんな研究の最先端にいる父はよく私に「大学院の修士まで行くのは良いと思うけど、博士まで行くつもりなら相当覚悟を持ってやらなければダメだよ」と言ってきます。

父が学生だった約30年前と比べても、現在の研究領域において博士号取得者が次に進むための道はかなり閉ざされているようです。

いわゆる「ポスドク問題」ですね。今回は、そのポスドク問題と日本の研究への影響についてまとめたいと思います。

ポスドク問題とは何か?

ポストドクターとは、博士号を取得した後の研究者のことで、この略が「ポスドク」です。

任期付きで研究活動ができ、常勤の教員とは違って研究に専念できるというメリットがあります。

その後正規のポストにつくというのが本来の流れなわけですが、ポスドク問題とはこのポストドクターが大学の正規のポストにつけず、企業への就職もできないという問題のことを指します。

なぜ正規のポストにつけない人が多くなってしまったのかというと、正規のポスト数自体が減ってしまったからです。

代わりに企業に就職しようとしても、そういう人たちは30代前後なので、企業は若い人材の方を採用してしまいます。

それによって職を得ることができず、研究どころか生活することができなくなってしまうわけです。

このように、例え実力があったとしても、そもそもの枠がないので、研究をしたくてもできない現状が社会問題となっています

なぜポスドク問題が起きたのか?

ポスドク問題の始まりは、バブルが弾けた1990年代に遡ります。

国力の回復を目指し、大学院を重点化したことで、国は博士課程の定員を急増しました。

しかし、国立大は2004年の法人化後、国からの運営費交付金の削減を受けて、正規ポストを減らし続け、代わりに非正規ポストを増やし続けました。

このミスマッチが起こったことで、多くのポスドクが正規ポストにつけなくなってしまったわけです。

日本の研究力の低下

ポスドク問題は、日本の研究力の低下を招きます。

1. 研究費

大学の規模に応じて分配され、人件費や大学の研究に使われる運営費交付金を、国は減らし続けてきました。

本来この交付金の削減は、大学運営の効率化を目指し、大学の無駄な部分を排除する目的で行われましたが、結果的に大学の研究領域を圧迫してしまったわけです。

他にも、科研費(科学研究費助成事業)が年々取りにくくなっており、日本の基礎研究が疎かになっています。

ポスドクには、研究費を獲得した上司の研究者の意向に沿った研究が求められる傾向があり、ポストを得るために成果を迫られ、自由に研究を行うことが難しいという現状もあります。

そのため、重要なテーマにじっくりと取り組むことができず、引用数が多くて影響力のある論文が生まれる数が年々減ってしまったのです。

2. 研究者数

若手の研究者は、助教などの正規ポストが減ってしまったため、非正規で働く人が増えました。

限られた期間で一定の成果を出さなければいけなくなってしまったことで、自由に研究することが難しくなってしまい、そういったポスドクの現状を見た修士課程の学生たちが、博士課程への進学を疎遠し始めました。

結果として、優秀な研究者の数が減っています。

3. 研究時間

研究者数の減少が、研究環境にも影響を与えています。

例えば、大学の授業や実験などの教育における1人あたりの負担が増えてしまいました。雑務に終われ、研究時間をなかなか捻出できないようです。

このような状況によって、日本の研究領域は今悪循環に陥っているのです。

政治主導の研究

研究費の枯渇に伴う研究環境の悪化が問題視されていることは先ほど述べましたが、一方で国の科学技術予算全体は増加しています。

その予算が拡大した分野の代表格がイノベーション関連の研究で、これは経済成長や問題解決に役立つ科学技術の研究のことです。

つまり、国の成長戦略として、将来役立つことが確実そうな研究に対してのみ研究費が支給されるという仕組みになっています。

予算が限られている以上仕方がないのかもしれないが、こういった政治主導の研究では学問への貢献よりも経済成長を重視した研究しか育たないので、基礎研究が疎かになり、日本人のノーベル賞受賞が今後望めなくなる可能性があります。

2018年にノーベル賞を受賞した本庶佑さんもこのことを懸念していたよね。

問題解決の糸口

ではこのような問題をどのようにすれば解決に導くことができるのでしょうか?

バブル崩壊に伴う不景気によって、ポスドク問題は引き起こされたと言っても過言ではないですが、問題なのは日本が未だにそれを解決できていない点です。

例えば、アメリカもオイルショック後の長引く不況によって日本と同じような状況になりましたが、若い研究者たちに起業を促す制度を作り、ベンチャーの力で経済再生に成功しました。

このことからわかるのは、日本が現状を脱することができていないのは、そもそもの地盤や制度がしっかりと確立されていないからだということが考えられます。

つまり、研究領域において良いスパイラルが生まれるようなシステム作りを民間主導で構築することが早急に必要です。

例えば、

POINT①

アメリカのように、研究者からイノベーターを発掘して起業につなげるシステム

POINT②

大学の研究と企業間の隔たりをなくし、スムーズに研究支援が行えるようなシステム

などです。

①によって研究領域の内部から問題を改善していき、②によって外部から援助するような2種類のシステムが構築できれば解決も早くなるのではないかと思っています。

最近になって日本にもこういった問題を解決しようとしているベンチャー企業が頭角を現してきているようです。

pol.co.jp

こういったベンチャー企業によって、日本の研究領域における問題を解決していって欲しいなと思います。